2013年 01月 26日
めまい |
医療サイトで「めまい」についての掲載がありました。
「めまい」で来院される方も多いですが、「めまい」を付随されている患者さんはたくさんいらっしゃいます。
その患者さんたちの多くは良くなるので、その「めまい」を作り出している原因の多くは器質的な大きな問題ではなく、どちらかというと体性感覚の機能異常であると私自身は感じています。
今回の掲載された内容も同様の要因について書かれていました。
以下掲載文・・・
最大の問題は「中枢性めまい」と「末梢性めまい」の呪縛です。
めまい患者に対し耳鼻科医は、耳の検査をして異常がなければ、「中枢性めまい」を疑い(神経)内科に回す。一方、内科医は血圧測定、血液検査、心電図などのスクリーニングと、頭部MRIで「異常なし」と分かれば、「末梢性めまい」(耳性めまい)を疑い耳鼻科に回そうと考えます。
お互いに回し合って、それでも原因不明の場合、眼科、整形外科、婦人科などに依頼することもありますが、敬遠され「当科的には異常なし」と返されることが多い。そして残るは「心因性めまい」しかないと考え精神科に紹介しようとする。
実は「めまいと言えば耳か脳」という、いわば「思考停止」の診断プロセスこそが、原因不明のめまい患者を量産し、めまいを「難しいもの」「分からないもの」にしているのです。
どうして「耳と脳に異常なければ精神科」と発想してしまうのか。
原因の一つは「予期不安」と「心因性めまい」の存在でしょう。めまいが治まった後も「またいつかめまいに襲われるのではないか?」「いつまためまいが起きるか分からない」といった不安が、めまいにはつきものです。患者によってはこうした精神症状が、めまいよりも前面に出る。また「心因性めまい」では、いくら身体の検査をしても原因が分からず、医師は対応に苦慮する。こうして、めまいの精神科的側面が誇張されていると思います。
もう一つの原因は、医学部や卒後研修で「めまいは中枢性と末梢性に分かれる」と教育されることです。
ご存知の通り、中枢性は小脳や脳幹といった脳を、末梢性は三半規管や耳石器といった耳(内耳)と前庭神経を指すのですが、実は全てのめまいが中枢性と末梢性に分類されるわけではありません。より上位の概念として、「前庭性めまい」と「非前庭性めまい」があり、このうちの前庭性めまいが中枢性と末梢性に分類されるのです。本来は、それぞれ「中枢前庭性めまい」「末梢前庭性めまい」と呼ばれるべきものです。
分類自体が混乱の温床
――「回転性めまい」と「浮動性めまい」に分ける方法もありますね。
「末梢性めまいは回転性、中枢性めまいは浮動性」という誤った認識が流布していますが、より正しくは「急性めまいは回転性、慢性めまいは浮動性」です。典型的な末梢前庭性めまい疾患である前庭神経炎のめまいは、発症時は回転性ですが、徐々に浮動性へと移行します。そして中枢前庭性疾患の代表である小脳梗塞のめまいも、これと同様の経過を取ります。
しかし、非前庭性めまいの中には、浮動性めまいで発症するものも多く、徐々に発症するものが多いです。一方、心因性めまいでは、ずっと回転性めまいが続くこともあります。「回転性だからどう、浮動性だからこう」とは必ずしも言えません。
――「眼振のあるめまい」と「眼振のないめまい」という分類はどうですか。
「眼振のないめまいは真のめまいではない」と捉えられるきらいがありますが、これは大きな間違いです。
眼振は前庭系の活動に左右差がある場合に生じるので、非前庭性めまいでは原則として眼振は認めません。しかし、前庭性めまいでも、例えば頭部外傷や薬物の全身投与による両側耳石器障害では、眼振が認められないこともあります。また末梢前庭性めまいの代表疾患である良性発作性頭位めまい症(BPPV)でも、患者が非発作期に来院した場合は、頭位変換眼振検査を施行しても眼振は解発されないことの方が多いのです。
めまいの診断においては、症状が回転性か浮動性か、眼振の有無などを確認することは大切ですが、それ以上に重要なのが「非前庭性めまいの存在を念頭に置くこと」です。前庭性めまいには代表的なめまい疾患が多く含まれているので関心が集まりますが、実際の臨床の場には非前庭性めまい患者も少なからず存在します。特に診断が付かずドクターショッピングをする患者の中に大勢隠れているのです。
やはり問診が最重要
――非前庭性めまいには、どのような疾患がありますか。
心因性めまいも非前庭性めまいの一つですが、その他のほぼ全ての診療科の疾患が関係します。守備範囲を広げないと診断が難しいことが、注目されにくい原因でもあると思います。私は日本めまい平衡医学会の会員ですが、本学会でも非前庭性めまいに関心が集まることはあまりないのが実情です。
――では、先生自身はどのように診療していますか。疑うポイントはあるのでしょうか。
やはり問診です。めまいの8割から9割は問診で診断が付くと昔から言われていますが、その重要性は検査技術が進歩した今日においても全く変わりません。今まで原因が分からなかった患者でも、非前庭性めまいまで念頭に置いて問診すると、診断が付くケースが多々あります。非前庭性めまいは、「昨日、今日、めまいがあった」と訴える人の中では少ない一方、慢性のめまいを訴える患者の中によく見られます。
にしむら治療院 はり・きゅう・カイロプラクティック
「めまい」で来院される方も多いですが、「めまい」を付随されている患者さんはたくさんいらっしゃいます。
その患者さんたちの多くは良くなるので、その「めまい」を作り出している原因の多くは器質的な大きな問題ではなく、どちらかというと体性感覚の機能異常であると私自身は感じています。
今回の掲載された内容も同様の要因について書かれていました。
以下掲載文・・・
最大の問題は「中枢性めまい」と「末梢性めまい」の呪縛です。
めまい患者に対し耳鼻科医は、耳の検査をして異常がなければ、「中枢性めまい」を疑い(神経)内科に回す。一方、内科医は血圧測定、血液検査、心電図などのスクリーニングと、頭部MRIで「異常なし」と分かれば、「末梢性めまい」(耳性めまい)を疑い耳鼻科に回そうと考えます。
お互いに回し合って、それでも原因不明の場合、眼科、整形外科、婦人科などに依頼することもありますが、敬遠され「当科的には異常なし」と返されることが多い。そして残るは「心因性めまい」しかないと考え精神科に紹介しようとする。
実は「めまいと言えば耳か脳」という、いわば「思考停止」の診断プロセスこそが、原因不明のめまい患者を量産し、めまいを「難しいもの」「分からないもの」にしているのです。
どうして「耳と脳に異常なければ精神科」と発想してしまうのか。
原因の一つは「予期不安」と「心因性めまい」の存在でしょう。めまいが治まった後も「またいつかめまいに襲われるのではないか?」「いつまためまいが起きるか分からない」といった不安が、めまいにはつきものです。患者によってはこうした精神症状が、めまいよりも前面に出る。また「心因性めまい」では、いくら身体の検査をしても原因が分からず、医師は対応に苦慮する。こうして、めまいの精神科的側面が誇張されていると思います。
もう一つの原因は、医学部や卒後研修で「めまいは中枢性と末梢性に分かれる」と教育されることです。
ご存知の通り、中枢性は小脳や脳幹といった脳を、末梢性は三半規管や耳石器といった耳(内耳)と前庭神経を指すのですが、実は全てのめまいが中枢性と末梢性に分類されるわけではありません。より上位の概念として、「前庭性めまい」と「非前庭性めまい」があり、このうちの前庭性めまいが中枢性と末梢性に分類されるのです。本来は、それぞれ「中枢前庭性めまい」「末梢前庭性めまい」と呼ばれるべきものです。
分類自体が混乱の温床
――「回転性めまい」と「浮動性めまい」に分ける方法もありますね。
「末梢性めまいは回転性、中枢性めまいは浮動性」という誤った認識が流布していますが、より正しくは「急性めまいは回転性、慢性めまいは浮動性」です。典型的な末梢前庭性めまい疾患である前庭神経炎のめまいは、発症時は回転性ですが、徐々に浮動性へと移行します。そして中枢前庭性疾患の代表である小脳梗塞のめまいも、これと同様の経過を取ります。
しかし、非前庭性めまいの中には、浮動性めまいで発症するものも多く、徐々に発症するものが多いです。一方、心因性めまいでは、ずっと回転性めまいが続くこともあります。「回転性だからどう、浮動性だからこう」とは必ずしも言えません。
――「眼振のあるめまい」と「眼振のないめまい」という分類はどうですか。
「眼振のないめまいは真のめまいではない」と捉えられるきらいがありますが、これは大きな間違いです。
眼振は前庭系の活動に左右差がある場合に生じるので、非前庭性めまいでは原則として眼振は認めません。しかし、前庭性めまいでも、例えば頭部外傷や薬物の全身投与による両側耳石器障害では、眼振が認められないこともあります。また末梢前庭性めまいの代表疾患である良性発作性頭位めまい症(BPPV)でも、患者が非発作期に来院した場合は、頭位変換眼振検査を施行しても眼振は解発されないことの方が多いのです。
めまいの診断においては、症状が回転性か浮動性か、眼振の有無などを確認することは大切ですが、それ以上に重要なのが「非前庭性めまいの存在を念頭に置くこと」です。前庭性めまいには代表的なめまい疾患が多く含まれているので関心が集まりますが、実際の臨床の場には非前庭性めまい患者も少なからず存在します。特に診断が付かずドクターショッピングをする患者の中に大勢隠れているのです。
やはり問診が最重要
――非前庭性めまいには、どのような疾患がありますか。
心因性めまいも非前庭性めまいの一つですが、その他のほぼ全ての診療科の疾患が関係します。守備範囲を広げないと診断が難しいことが、注目されにくい原因でもあると思います。私は日本めまい平衡医学会の会員ですが、本学会でも非前庭性めまいに関心が集まることはあまりないのが実情です。
――では、先生自身はどのように診療していますか。疑うポイントはあるのでしょうか。
やはり問診です。めまいの8割から9割は問診で診断が付くと昔から言われていますが、その重要性は検査技術が進歩した今日においても全く変わりません。今まで原因が分からなかった患者でも、非前庭性めまいまで念頭に置いて問診すると、診断が付くケースが多々あります。非前庭性めまいは、「昨日、今日、めまいがあった」と訴える人の中では少ない一方、慢性のめまいを訴える患者の中によく見られます。
にしむら治療院 はり・きゅう・カイロプラクティック
by kosuke-n
| 2013-01-26 14:11
| 徒手医学