2015年 08月 26日
京都セミナー 肩の可動域に対する分析 |
京都でのセミナーを資料化する事を目的として今日は記載していきます。
参加者には
「体験知・経験知」
「仮定する・発想する・アブダクション(アブダクションについての過去の記載はこちら)」
「機能的とは、本当のファンクショナルとは」
を感じてもらうことを私なりのテーマとしていました。(講義中にはリトロダクションという別の言い方をしていたかもしれません)
「肩」についてという広いテーマを頂いて、肩関節は検査と分析とその変化が見やすい部位という特徴がありますの、参加者の目標に合わせてセミナー内容をフレキシブルにするようにしました。
肩の外転可動域テスト[/caption]
また疑問点や相談などありましたらメッセージいただけたらと思います。
まず体験知・経験知ですが、医療がEBMという科学的に行われ始めてくると、あたかもすべてがその論理で通るような錯覚が起こります。
「この疾患にはこれをする」
しかし実際には研究データのような良い結果が生まれません。
実際にはその疾患に対する経緯や背景は異なり、それを把握するNBM、すなわち物語的な医療が重要視される、そんな時代に現在はなってきています。
時代がそうだからといって実際にそれを経験することは難しいです。
今回は「肩関節のインピンジメント」というテーマで一人一人の体の背景から読み取るNBMを実践してもらいました。
身体に変化を与えて、肩関節の可動域の変化をみます。
そうすることでどこをどう治療すれば、肩の症状を取ることができるかを考察する、評価する、治療プランの発想、です。
過去に投稿した、診断学についてはこちら
触診に重要なのは、ありのままに触る・ありのままに受け取ることです。
握ってはダメ、操作したい関節に軸をきちんと持っていく、体の緊張を読み取るように心がける、注意の幅を調整する、といったことが基礎として重要になります。
今回の参加者の可動域に変化を及ぼした例を挙げると、
骨盤の回旋・仙骨の傾き・腰椎の側弯・胸椎の側弯・頸椎の緊張・姿勢反射・上腕骨の異常・烏口突起ならびに肩甲帯の異常・肘関節の緊張・前弯のトーヌスなどなど、
参加者一人一人全く違う経緯で肩関節の可動域異常が認められたことを体験できたと思います。
これがテーマの体験知、飛躍的な治療考察です。
検査の知恵というのは、計り知れないというのを体験できたのではないでしょうか
もう一つのテーマは「ファンクショナルとは」です。
この二つを体験した人はもうお分かりかと思うのですが、本当の機能とは、目的に対しての適応力が関節や筋肉のファンクションなのです。
現在流行のファンクショナルトレーニングやエクササイズは、トップアスリートにおいてはネガティブな結果を及ぼすことが多くあります。
それは、その理論の中での「目的」が限定されているからです。
『機能は、ある目的を前提とする。その場合、素朴な質問は何のためにあるのか。』
『一般に「専門的な立場から見る」ことは「偏見によって」「経験の集積によって」「その人の理論によって」決定される』
つまり今のファンクショナル○○はある一つの目的においての理論であり、複雑な動きを必要とするスポーツにおいてはネガティブな結果を生むことになります。
「科学的」という言葉も同様です。
『科学的な見方、というのはある見方をとって、それを譲らないから強いのである。しかし、ある見方をとれば、そこから見えないもの、そこでは意味を持たないものは無視されてしまう。医学は昔から個を扱い、同時に誰にでも通用する法則を扱うものである。ずいぶん器用な綱渡り・・・』
参考図書
『解剖学も人の身体の可視的な構造を呈示することにより、本来は、それ自身に何かを語らせようとするものだった。解剖という操作はあくまでもその補助的手段に過ぎない。人の部分がそう言うものとして示され、それがどういう風にか人を語る。』
解剖学や運動学、神経学があたかも人を語っている様に見えますが、ヒトが語っていることを文章化したのがこれらの学問です。
大切なのはヒト、我々の場合患者さん、そこに語られている情報を、既存の解剖学や運動学、神経学に照らし合わせながら考察することが重要であると感じています。
私が治療技術、検査技術を学んだ研究会はこちら
モーションパルペーション研究会
少しでも治療に悩みを抱える治療家の力になれれば幸いです。
東京都港区芝5-27-5山田ビル503
03-6435-2437
にしむら治療院 西村 公典
参加者には
「体験知・経験知」
「仮定する・発想する・アブダクション(アブダクションについての過去の記載はこちら)」
「機能的とは、本当のファンクショナルとは」
を感じてもらうことを私なりのテーマとしていました。(講義中にはリトロダクションという別の言い方をしていたかもしれません)
「肩」についてという広いテーマを頂いて、肩関節は検査と分析とその変化が見やすい部位という特徴がありますの、参加者の目標に合わせてセミナー内容をフレキシブルにするようにしました。
肩の外転可動域テスト[/caption]
また疑問点や相談などありましたらメッセージいただけたらと思います。
まず体験知・経験知ですが、医療がEBMという科学的に行われ始めてくると、あたかもすべてがその論理で通るような錯覚が起こります。
「この疾患にはこれをする」
しかし実際には研究データのような良い結果が生まれません。
実際にはその疾患に対する経緯や背景は異なり、それを把握するNBM、すなわち物語的な医療が重要視される、そんな時代に現在はなってきています。
時代がそうだからといって実際にそれを経験することは難しいです。
今回は「肩関節のインピンジメント」というテーマで一人一人の体の背景から読み取るNBMを実践してもらいました。
身体に変化を与えて、肩関節の可動域の変化をみます。
そうすることでどこをどう治療すれば、肩の症状を取ることができるかを考察する、評価する、治療プランの発想、です。
過去に投稿した、診断学についてはこちら
触診に重要なのは、ありのままに触る・ありのままに受け取ることです。
握ってはダメ、操作したい関節に軸をきちんと持っていく、体の緊張を読み取るように心がける、注意の幅を調整する、といったことが基礎として重要になります。
今回の参加者の可動域に変化を及ぼした例を挙げると、
骨盤の回旋・仙骨の傾き・腰椎の側弯・胸椎の側弯・頸椎の緊張・姿勢反射・上腕骨の異常・烏口突起ならびに肩甲帯の異常・肘関節の緊張・前弯のトーヌスなどなど、
参加者一人一人全く違う経緯で肩関節の可動域異常が認められたことを体験できたと思います。
これがテーマの体験知、飛躍的な治療考察です。
検査の知恵というのは、計り知れないというのを体験できたのではないでしょうか
もう一つのテーマは「ファンクショナルとは」です。
この二つを体験した人はもうお分かりかと思うのですが、本当の機能とは、目的に対しての適応力が関節や筋肉のファンクションなのです。
現在流行のファンクショナルトレーニングやエクササイズは、トップアスリートにおいてはネガティブな結果を及ぼすことが多くあります。
それは、その理論の中での「目的」が限定されているからです。
『機能は、ある目的を前提とする。その場合、素朴な質問は何のためにあるのか。』
『一般に「専門的な立場から見る」ことは「偏見によって」「経験の集積によって」「その人の理論によって」決定される』
つまり今のファンクショナル○○はある一つの目的においての理論であり、複雑な動きを必要とするスポーツにおいてはネガティブな結果を生むことになります。
「科学的」という言葉も同様です。
『科学的な見方、というのはある見方をとって、それを譲らないから強いのである。しかし、ある見方をとれば、そこから見えないもの、そこでは意味を持たないものは無視されてしまう。医学は昔から個を扱い、同時に誰にでも通用する法則を扱うものである。ずいぶん器用な綱渡り・・・』
参考図書
『解剖学も人の身体の可視的な構造を呈示することにより、本来は、それ自身に何かを語らせようとするものだった。解剖という操作はあくまでもその補助的手段に過ぎない。人の部分がそう言うものとして示され、それがどういう風にか人を語る。』
解剖学や運動学、神経学があたかも人を語っている様に見えますが、ヒトが語っていることを文章化したのがこれらの学問です。
大切なのはヒト、我々の場合患者さん、そこに語られている情報を、既存の解剖学や運動学、神経学に照らし合わせながら考察することが重要であると感じています。
私が治療技術、検査技術を学んだ研究会はこちら
モーションパルペーション研究会
中川 貴雄
科学新聞社出版局
売り上げランキング: 90,500
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少しでも治療に悩みを抱える治療家の力になれれば幸いです。
東京都港区芝5-27-5山田ビル503
03-6435-2437
にしむら治療院 西村 公典
by kosuke-n
| 2015-08-26 18:36
| 徒手医学