2016年 09月 07日
身体座標 めまいの身体学 |
身体は、空間を定位するための座標をいくつも持っています。
脳内でも、空間によって刺激される脳内の局在は変わっていることはすでにわかっています。
網膜中心座標、眼球中心座標、頭部中心座標、身体中心座標、身体部位中心座標、物体中心座標などなど様々です。
今回は身体が自己を定位する・そして物体に行為を及ぼす上で重要な、網膜中心座標、眼球中心座標、頭部・身体中心座標について述べたいと思います。
この知識は、めまいを罹患する患者さんに対する治療計画だけでなく、「行為」全体に関連する事象ですので、運動器の障害すべてに関わります。
もちろんスポーツにも
このようにある空間内にある対象をある空間に運ぶようなスポーツにはとても重要な概念でもあります。
身体には身体周囲空間 personal space と呼ばれるものが存在しています。
なぜこのように空間座標がたくさん存在するのかですが、身体空間・近位空間(手が届く範囲)・遠位空間とに分類されており、身体を取り巻く空間から、行為を及ぼすことのできる空間、それ以外と別れています。
参考図書:ミラーニューロン
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目で捉える知覚に始まり、物体がどこにあるか判断・認知、その距離から身体に対しての準備・予期、行為と実行全体の空間の位置に対しての知覚には網膜中心座標を用い、身体がその視覚刺激に対してどのような状態かを比べながら判断するために、眼球中心座標や頭部中心座標を用いなければなりません。
coordinate system
理化学研究所・脳科学事典より引用
このように目で捉えた情報はつねに身体の座標を用いながら認知判断しているのです。
現在、スポーツの分野では眼球運動のトレーニングが一般的に用いられる様になってきました。
しかし、眼球の運動というのは様々な反射や脳による信号のやり取りが行われており、身体のフィードバック無しには行われないこともわかっています。
眼球運動のトレーニングやリハビリテーションは負担も大きく、身体の座標がどのように認識をしているかを考慮することでこの負担を減らすことができます。
運動器の治療の中で、このような座標軸を意識しながら行う分野も存在しているため、これらを統合した治療もこれから盛んになるのではないでしょうか。
めまいや頭痛でお困りの方・スポーツの分野で頑張っている方、様々な方に取ってお役に立つことができましたら幸いですめまいの症例報告
西村 公典
東京都港区芝5-27-5山田ビル503
03-6435-2437
by kosuke-n
| 2016-09-07 11:39
| 脳科学・心理学