座骨神経痛 ランニング 神経支配と足関節の機能 |
大阪マラソン、神戸マラソン、埼玉国際マラソンと11月はマラソン大会が全国各地で行われており、当院に来院されている患者さんも遠方まで参加をしに行かれています。
今日は、そんなランニングに関する症例検討をします。
30代男性
マラソン歴10年以上
半年前に走っている最中に右下腿外側に違和感が走り、それから足首の前面、膝の裏、臀部と痛み・張り・痺れの症状が出現。
走ることを辞め安静にし、ストレッチに通うが一向に改善せず、半年ほどが経過し当院に来院となりました。
これまでの治療というと、梨状筋とハムストリングスのストレッチ、腰部や下肢のマッサージを行っていたそうです。
歩行と軽いランニングの動作を確認すると、
- 膝下からの動きの流れがないように思えました。
- 接地時の骨盤の動きもおかしく、床反力に対しての力の逃がしができていない。
- 身体の回旋も非対称
- 右足の接地が身体の中心よりも左側にいく(内転過多)
機能検査を行うと
- 右股関節の外転制限
- 右股関節の外旋制限
- 右膝の内旋制限・外旋過多
- 距骨の内転制限・外転過多
- 両足の内反足
- 仙骨の左下方変位・右上方変位
- 右骨盤の前傾・左骨盤の後傾
- 下部胸椎左側弯・上部胸椎右側弯
触診の中で距骨の問題が非常に強く感じたので、距骨のリリースから始めました。
続いて膝関節の内旋可動性を改善させて行きます。5°から10°くらいの小さな動きです。
これだけでだいぶ膝下からの痺れが改善しました。
梨状筋の筋力テストによって
梨状筋の神経の発火が遅いことから、接地時の臀筋の収縮が遅れることもトレンデレンブルグ徴候との関連が示唆できました。
仙骨のリリースの後に、梨状筋の筋力テストで行うと筋収縮の早さも改善し、反射機能が改善したことがわかったため、仙骨の問題が坐骨神経痛の一つの原因であったようです。
座骨神経痛を引きずりながらの半年間は異常動作にも繋がっているため、身体の機能改善の後走り方の修正も最後行いました。
このように「検査」「仮説」「検証」の繰り返しによって症状が一つ一つ改善して行くことで、「座骨神経痛」という臀部・膝・足首と広がる症状の改善に繋がります。
座骨神経痛やランニングでの症状にお困りの方に少しでもお力になれれば幸いです。
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西村 公典