視運動性反応からみた頭痛の原因 スマートフォンのスクロールと身体機能 |
頭痛は非常に多くの方が困っている症状の一つです。
様々な種類の頭痛がありますが、眼精疲労による頭痛の中で、最近スマートフォンやタブレットの普及による新しい頭痛が現れているのをご存知でしょうか?
それは液晶画面の『スクロール』などによって起こる頭痛です。
我々は対象を注視する際に、常に視線を保つにようにする身体のメカニズムが働いています。
「前庭動眼反射」vestibulo-ocular reflex (VOR)と呼ばれるメカニズムです。
昔にブログに記載したVORのメカニズムはこちら(医療従事者用)
電車に乗りながら、スマートフォンを見て仕事をしているとします。
電車の発進、停車によって起こる身体の揺れが起こっても、視線がどこかへ飛んでしまうことはありません。
なぜなら、身体が動いたことを無意識に察知し、その動きに対する補正を眼球は行っています。
ビデオで言えば、「手振れ補正機能」みたいなものが身体には元々あるのです。
走りながらビデオ撮影したものを後で見てみると、撮影した画面はぶれていますが、
走っている我々の視界がぶれることが少ないのもそのおかげです。
揺れる電車の中でメールチェックや新聞が読めるのもその機能です。
そしてもうひとつの反射が視運動性反応optokinetic response(OKR)
ビジネス用語のObjective and Key Resultでいう、目標設定ではありません。
この視運動性反応というのは、視覚刺激から起こる眼球の反射です。
今まさに皆さんが行う「スクロール」、画面を水平や垂直にスライドさせる運動ですが、その際に眼球は代償運動を行って、緩やかに追いかけることと、高速に移動して眼球を元の位置に戻すことを繰り返し行っています。
スマートフォンのような小さな画面では通常この反射は起こりませんが、最近は画面を近づけている人も多く、同様の反射が起こりやすいのではないかと私は推測しています。
スマートフォンを覗いている人の眼球に注目していると、スクロールの際に緩徐相とサッケードと呼ばれる高速運動を目撃することができます。
電車の反対側の座席に座った方が、もし景色を眺めていたら、その人の目も同様の反射が起こっているのでわかると思います。
つまりはスクロールしていると眼球は反射的に動くのですが、ここにさらに自分が揺れたり、画面を傾けていたりと、することで最初に説明した反射や、他の機能を必要とされ、眼球にかかる負担は大きくなります。
結果、眼精疲労や、めまい、そして頭痛と言った症状を呈する様になってしまうのです。
どの反射の機能が弱くなっているのか、そしてどういった機能がover-use・over-doseになっているのか身体の機能検査と生活習慣の聴取によって、一つ一つ改善することで、頭痛も改善して行きます。
アスリートにもこういった機能を改善することでパフォーマンスが上がります。
更なるパフォーマンスアップを望む人もぜひご相談ください。
頭痛でお困りの方に少しでもお力になれれば幸いです。
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にしむら治療院 西村 公典
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